2016年4月18日 月曜日

教育費の高騰が続けば「経済的徴兵制」が日本に根付くだろう

教育費の高騰が続けば「経済的徴兵制」が日本に根付くだろう

ジャーナリスト 堤未果   2016年4月。自民・公明両党は、返済不要な「給付型奨学金の導入を政府に提言した。具体的な制度設計や財源に関する議論はこれから詰めてゆくという。OECD諸国内で唯一「給付型奨学金」を持たない日本。学資ローンは初めは無利子のみだったが、1984年に中曽根政権が新設した有利子枠が十年で約十倍に拡大、今では四分の三が有利子だ。2007年には民間金融機関も参入して実質的な金融事業と化し、学費高騰と非正規雇用急増による世帯年収下落などから、大学生の2人に1人が借りている学資ローンの延滞率は、年々上昇している。  ...

2016年3月26日 土曜日

同一労働同一賃金で日本の労働環境は地盤沈下してゆく

同一労働同一賃金で日本の労働環境は地盤沈下してゆく

ジャーナリスト 堤未果 二〇一六年二月五日。衆議院予算委員会の席で安倍総理は、仕事内容や経験が同じなら原則同じ賃金を保障する「同一労働同一賃金」の法制化検討に言及した。2015年に成立した、派遣労働者が雇用形態に関わらず職務に応じた待遇を受けるという理念を掲げたいわゆる「同一労働同一賃金推進法」の具体化だ。国際労働機関(ILO)は同原則を基本的人権としてILO憲章の前文に挙げている。...

2016年3月26日 土曜日

再生可能エネルギーは重要。でもそれを悪用する投資家には気をつけろ

再生可能エネルギーは重要。でもそれを悪用する投資家には気をつけろ

ジャーナリスト 堤未果 2015年は、温室効果ガス排出削減を国際的コンセンサスとする潮流と共に幕を閉じた。12月12日。第21回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP21)が採択したのは、地球温暖化対策における2020年以降の新たな枠組みとなる「パリ協定」だ。...

2016年1月15日 金曜日

「消費税は福祉のため」という大義名分はウソだ

「消費税は福祉のため」という大義名分はウソだ

  ジャーナリスト 堤未果 2015年11月13日。自民・公明両党の幹事長は消費税軽減税率で議論していた食品について「外食」を除いた「生鮮食品」と「加工食品」とすることで合意した。   この決定には賛否両論あるが、軽減税率の恩恵がわずか2%とそれにかかる手間を差し引きすると、導入に要するシステムを提供する大手企業への特需以外、効果のほどは疑問が残る。   政府や大手マスコミ、増税論者らはよく、欧米の消費税率と比較して、日本はまだ上げる余地があると言う。  ...

2015年12月9日 水曜日

対テロ戦争の拡大でいちばん潤うのは大国の軍産複合体だ

対テロ戦争の拡大でいちばん潤うのは大国の軍産複合体だ

ジャーナリスト堤未果 2015年11月13日。パリ七カ所で起きた同時多発テロは、129人の死者と350人以上の重軽傷者を出した。オランド大統領は即座に「国内非常事態」を宣言、同攻撃を「戦争行為」と表現し、15日にシリア領内のISIL拠点への大規模空爆を開始する。 昨今起きた事件の数々と同じように、今回もテロ実行犯たちが現場にしっかりと身分証明書(パスポート)を残した事や、テロが公式攻撃演習のタイミングと一致していた事、そもそものイスラム国が生まれた経緯などは、欧米の商業マスコミでは一切追及されていない。 代わりに大国のリーダーたちは次々に「対テロ戦争強化」を高らかに宣言、日本では与党幹事長がテロ対策としての【共謀罪】の必要性に言及し、外務省はテロに詳しい非常勤スタッフの募集をかけた。 だが一体何故?...

2015年11月5日 木曜日

TPP妥結で日本の農地は海外企業のものになる

TPP妥結で日本の農地は海外企業のものになる

ジャーナリスト 堤未果 十月五日。八年前から秘密裏に行われてきたTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)のアトランタ閣僚会合が終了し、記者会見が行われた。三十章の機密条文は未公開だが、安倍総理は「アジア・太平洋の未来にとって大きな成果」と高く評価し、大手マスコミは日本が大幅に譲歩した関税撤廃について連日報道中だ。 日本のマスコミは概して「世界のGDPの四割を占める経済圏の誕生」とお祭りムードだが、実際はこれから先には長い道のりが待っている。完全合意に至り、合意文書を作成し、各国の代表がそれぞれの国の議会に持ち帰り承認を得るという複数の工程があるからだ。...

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